アメリカや中国と比べ、土地も人口もはるかに小規模な日本。
しかし、1人あたりのプラスチック消費量で見ると世界トップ3に入る、云わば「プラスチック大量消費国」なのです!
ここでは、日本のプラごみ消費量と、ごみ輸出問題について取り上げます。
日本はプラスチックの大量消費国!
国連環境計画(UNEP:United Nations Environment Programme)が2018年6月発表した報告書「SINGLE-USE PLASTICS」によると、2014年時点でのプラスチック総消費量は、中国、EU、アメリカ、インドに次いで第5位、また、1人あたりのプラスチック消費量は、アメリカに次いで世界第2位と、非常に高いことが分かります。
毎日何気なく使っているプラスチックですが、世界的に見ても第2位に入るほどとは驚きです・・・。
1人が1年間に消費するプラスチックの重さは32kgにもおよぶらしく、つまりは毎月約2.7kgのプラスチックを消費していることになりますね。
プラスチックごみの種類を産業セクター別で見てみると、およそ36%は、容器包装に使われたものであることが分かります。
確かに、スーパーやコンビニで売られている商品の多くは、プラスチック包装されています。これらを購入することの積み重ねで、自然と月数kgものプラごみを排出してしまっているのかも知れません。
日本から出るプラごみはどこへ行く?
日本で出たプラスチックごみは、すべてを国内で処理することはできず、海外へ輸出しています。
数年前までの主要輸出国は中国でしたが、2017年に中国がプラスチックごみの受け入れを禁止したことを受け、2018年以降は輸出量ががくんと減少。2016年の廃プラスチック総輸出量152.7万トンと比べると、2019年の輸出量は89.8万トンと、およそ42%減少しています。
また、輸出先・輸出量は下の表のように変化しています。
このデータだけを見るとごみが減っているようにも見えますが、必ずしもそうではありません。
輸出できないプラごみは、国内のプラスチック処理業者の負担を大きくしています。
また、2019年5月にはバーゼル条約により汚れたプラスチックごみは輸出規制の対象となることが発表されました。輸出規制は2021年1月1日から始まり、これ以降は相手国の同意がなければ対象となるプラスチックの輸出をすることはできなくなります。
2021年1月、もうすぐです(汗 !!
たとえば2019年に輸出していた89.8万トンのプラごみも国内で処理しなければならなくなったら、どうなってしまうのでしょうか。
処理業者にさらなる負担がかかるだけでなく、処理しきれないプラごみの発生により、行き場を失ったごみが日本を埋めつくしてしまう日がくるかも知れません。
ところで、2019年5月のバーゼル条約で気になったのが、「汚れたプラスチックごみ」が輸出規制になるよ、というところ。
なぜ、”汚れた”プラスチックごみ だけ規制されるのでしょうか?
実はリサイクルされていない”汚れた”プラスチックごみ
プラスチックはリサイクル用として分別を行ったとしても、そのまま焼却・埋め立て処分されてしまうことがあります。 その原因は、プラスチックに食べ残しや汚れがついていたり、違う種類のプラスチックが混じっていると、新たなプラスチック製品を作るための材料にすることができないからです。
下の図によると、リサイクルされているのはプラスチックごみの約9%で、12%は焼却され、残りの79%は埋め立てられている(あるいは放置されたり、海へ流れ出たりしている)ようです。
つまり、新たなプラスチック製品を作るための材料となりうる廃プラは全体の9%ほどしかなく、それ以外の91%は焼却・埋め立ての運命にあるということです。
2019年のバーゼル条約で輸出規制がかかるプラスチックごみは、この91%の方だということが推察されますね。
日本では、プラごみのリサイクル率が84%!などと言われていることもありますが、
実際は、プラごみの半分以上が焼却により熱を再利用するサーマルリサイクルというサイクルに乗せられているようです。
材料を一度しか使用しないからリサイクルとは呼べないのでは?という疑問もありますが、日本では、現状このサイクルが最も効率的とされているようです。。
→世界基準からズレた日本の「プラごみリサイクル率84%」の実態
2020年、私たちができること
プラスチックごみの輸出規制が行われるようになり、これからは自国で出したごみを国内で処理することが求められます。
プラスチック大量消費国になっている理由は、プラスチックを使った製品を売る企業だけでなく、消費する私たち、そして消費後のプラスチックの捨て方なども少なからず影響を及ぼしています。
”汚れた”プラスチックごみがリサイクルできないのであれば、”きれいな”状態でプラスチックごみを捨てる努力はとても意味のあることです。
海はみんなのものだから、私たちひとりひとりが、プラスチックごみと向き合い、ごみの行く末を意識しながらコントロールできるようになるといいですね!
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