1億5,000万トン超えと言われている、海の漂流プラスチックごみ。プラスチックは生分解性が悪く、なかなか自然へ戻らないため海を漂流し続け、海洋汚染を引き起こしています。
そもそも、海へ流れ出るプラスチックごみは、どのようなルートを辿っているのでしょうか??
海をただようプラスチック。どこからきたの?
海に流れ出るプラスチックのごみの多くは「陸」から出たもので、川や下水などを通って海へ流出していることが、様々な調査により明らかになっています。
1.業者のごみ不法投棄
ごみ処理場やリサイクル施設に運ばれるはずのごみが、その途中で不法投棄されてしまうこともあるようです。これらが、風に吹かれたり雨に流されたりして川に落ち、海へと流されていきます。 また、漁業用の船から捨てられた漁具などもプラごみの中では多く、プラごみ漂流物として海をただよっているようです。
2.私たちのぽい捨て
個人が出したごみについても、同じルートをたどります。何気なくぽいっと捨てたものが、風に飛ばされて川へ行きつく。また、花火大会や海の家など、川辺や海辺のイベントで放置されたごみが、川をとおって海に流れ出たり、直接波にのまれて沖へ出てしまうこともあります。
世界の川から流れるごみの量
川から流れるごみの量で最も多いのは、東・東南アジアであることが分かっています。
2010年に行われた調査によると、1位は中国、2位はインドネシア、3位はフィリピン、4位がベトナムでした。
中でも中国の川から流れ出るごみの量は断トツで多く、今後の早急な対策が求められます。
日本の漂着ごみ。プラスチックの割合は?
海をただようごみ調査の一環として行われた環境省による漂着ごみ調査(2017年)によると、漂着ごみの多くはプラスチックごみであることが改めて分かりました。漂着した場所にもよって割合は変わりますが、プラごみの多くは「ペットボトル」「弁当箱等の食器トレイ」「ポリ袋や食品梱包材」「漁具」であるようです。
以下の図は、容積ベースで漂着ごみの割合を調べたものです。ペットボトルや食器容器、漁具が多いことが分かります。
重量ベースで見てみると、弁当箱・トレイ等の食器容器や、ポリ袋、菓子袋等の食品梱包材も多いことが分かります。これはまさに、私たちが毎日のように使っているものですね。
また、個数ベースで見てみると、圧倒的にペットボトルの数が多いことが分かります。ゴミ箱からあふれているペットボトルが、長い年月をかけて海へと流れ着いているのです。
日本では年間約900万トンのプラスチックごみが排出されています。 特に日本人は1人当たりのプラスチック消費量が世界で2番目に多いプラスチック大量消費国ですから、海を漂流するプラスチックごみについても、しっかり向き合っていかなければならない立場にあります。
また、中国がプラスチックの輸入を禁止して以降、国内で行き場のないプラスチックごみがたまり続けていることも問題視されています。 (「日本のプラスチックごみ輸出問題について」 )上記図に示した漂着ごみがすべて日本から出ているわけではありませんが、海をきれいにしたいなら、やはり自分ごととしてどうあるべきかを考えていきたいものです。
私たちの生活からできること
海へ流出したプラスチックは海を漂いながら細かく砕かれ、一度海へ流出してしまうと回収が非常に困難になります。 特に5ミリ以下に細かく砕かれたプラスチックの粒はマイクロプラスチックとも呼ばれ、魚や鳥が餌と誤って食べてしまったりすることで、生態系に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。(「マイクロプラスチックが私たちに与える影響とは?」)
海は、世界中の国々とつながっています。
ひとりがポイ捨てをすればそのごみがどこかの世界の海を汚してしまうことになるかもしれません。 世界では年間約800万トンものプラスチックごみが、海へ流出しているとの試算もあり、環境汚染を食い止めるためにも私たち一人一人が自分の出すごみが環境にどのような影響を与える可能性があるのか考えなければならない段階に来ています。
今日出すプラごみ。明日コンビニで買うお弁当容器。帰りに買ったペットボトル。
あなたはどう捨てますか?
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