サンゴ礁が消えることは、私たちの生活にどう影響するのか。私たちの生活は、サンゴ礁と地球にどう影響しているのか。サンゴとサンゴ礁、二酸化炭素との関係を考えてみる。
インスタ映えする青い海。シュノーケルをつけて中をのぞくと、きれいなサンゴ礁の周りを泳ぐ小魚たちが見える。そんな美しい景色が、なくなってしまうかもしれないという危機が訪れているようだ。
―サンゴ礁がなくなるとは、どういうことか。
サンゴの特徴とサンゴ礁が担う役割を知り、サンゴ礁がなくなることの重大さを感じてみた。
サンゴはサンゴ礁をつくる「動物」だ
まずは、サンゴを知ることから始めよう。サンゴ礁の表面にふわふわと生息しているサンゴはクラゲやイソギンチャクの仲間で、なんと「動物」というカテゴリに属する生き物だ。以下のようなポリプと呼ばれる個体が分裂し、何千、何万という群れをなす。
ポリプの構造
(引用:美ら海振興会)
サンゴには、サンゴ礁をつくる造礁(ぞうしょう)サンゴがいる。イソギンチャクとの違いもここにあり、サンゴはサンゴ礁という骨格を造るところに大きな特徴があるようだ。
- 造礁サンゴ・・・浅い海に生息。成長は早い。体内に褐虫藻(かっちゅうそう)がいる。
- 非造礁サンゴ・・・深海に生息。造礁サンゴに比べてゆっくり成長する。
造礁サンゴが浅い海に生息しがちなのには、理由がある。それは、体内に共生させている褐虫藻に光合成をさせるためだ。造礁サンゴのエネルギーの多くはこの褐虫藻の光合成によってまかなっているため、浅い海にいる必要があるのだ。
サンゴ礁は、造礁サンゴが作る石灰質の土台
造礁サンゴは、自身の下に炭酸カルシウムを出すという性質によってサンゴ礁をつくりだす。この性質こそが、長い年月をかけて石灰質の骨格を形成し、サンゴ礁という地形をつくりだしているのだ。
サンゴ礁の表面には造礁サンゴがびっしりと生息し、サンゴの種類や海の環境に応じてさまざまな形へ成長する。サンゴ礁の形はさまざまで、平たいキノコのような形やキャベツのようなもこもことしたもの、枝のような形に成長するものもある。
サンゴ礁がキレイな海を支えている?
①海の多様性を生み出す場所
サンゴ礁は、生き物の生息場所や産卵場所としての役割がある。
サンゴ礁がある海域はラグーンとよばれ、海に生きる生物のおよそ25%が生息する重要なエリアなのだ。
ファインディング・ニモにも登場するカラフルで可愛い魚たちも、サンゴといい感じで共存する生き物だ。彼らはサンゴ礁を敵から身を守る隠れ家とし、同時に栄養分をもらう大切な住処としても使っている。
②海の浄化に貢献
サンゴにはまた、動物なのに、二酸化炭素を吸収し酸素をつくる植物のような性質をもつ。二酸化炭素の吸収量は植物よりも多く、年間吸収量は20トンを超えるという。
青い海を維持するだけでなく、地球全体のバランスを保つことにも貢献する重要な生き物と言えるだろう。
海の酸性化がサンゴ礁を消す?
空気中の二酸化炭素量の増加は、地球温暖化のほかにも、二酸化炭素が海に溶ける量が増えることによる海水の酸性化にもつながる由々しき問題だ。
海洋酸性化のメカニズム
(引用:気象庁)
サンゴ礁には「酸性に弱い」という弱点がある。
造礁サンゴがつくる炭酸カルシウムは、酸性化では溶けやすくなるという性質があるのだ。つまり、酸性に偏った海ではサンゴ礁はなかなか作られにくく、また既にある炭酸カルシウムは少しずつ溶けてしまう危険がある。
私たちに、自分にできること
サンゴ礁がなくなったら、そこを住処として生きる魚はどこで生活すれば良いのだろう。
可愛いニモは、どこへ行くのか。
普段何気なく過ごす毎日が、間接的に海の生き物の生きる場所をなくしていることにつながっているとしたら・・・
沖縄県では、サンゴ礁を守る条例をつくった。
サンゴ礁の重要性を知っている人たちは、こうして動き始めている。
魚たちのオアシスを守るため、私たちが今できることは何だろう。
水族館で可愛い魚の姿をみるのと同時に、この魚たちと共存できる青い地球の将来を考え、実現できる仕組みを実現させたい。
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